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温度・湿度関連

 

(1)理想気体の状態方程式
温度T、圧力P、体積Vなどの状態量が変化することを、状態変化といいます。
理想気体の状態方程式はRをガス定数として、
  PV=RT
で表します。
ここでTは気体の分子運動が停止する温度-273.15[℃]を0[K]とする絶対温度で摂氏温度をt[℃]とすると、
  T=t+273.15
となります。

(2)熱力学の第一法則
熱力学の対象とする物質を系といい、適当に定めた境界によって、系外(外部、周囲)と区別します。
系自身の内部に保有していると考えられるエネルギーを内部エネルギーU[J]と言います。

(1) 外部から、微小熱量dQが加えられ系の内部エネルギーUが、dU増加し、外部に微小仕事dWをしたとすると、
      dQ=dU+dW
となります。
これが熱力学第一法則で、エネルギー保存則* と言えます。
この熱力学第一法則には他の表現方法があります。
(2) 熱はエネルギーの一形態であり、仕事を熱に変えることも、またその逆も可能です。
       1[cal]=4.186[J]
       1[kW]=3600[J]=860[kcal]
(3) 系のエネルギーを変化させる原因は仕事と熱であってこれ以外はありません。
(4) 任意の系を断熱壁で囲い一つの状態から他の状態に変化させる(断熱変化)場合、この時外から仕事がされることになります。実験によると、「その仕事の量は系の最初と最後の状態によって決まり、移り変わりの道筋にはよらない。」となります。

(3)エンタルピー
自然界には、系がその表面に一様で一定な圧力Pを受けている場合が多くあります。
外からの圧力がPのとき、系の体積がdV増加したとすると
  仕事=圧力×体積  ですから
  外への仕事は dW=PdV で上記の式に代入すると
  dQ=dU+PdV=d(U+PV)
H=U+PV をエンタルピーといいます。
物体(系)が内部に蓄えている総エネルギー(熱量の合計と考えてください。)です。

(4)等圧変化、等積変化、断熱変化、等温変化とエンタルピー
(1)等圧変化 P=一定 と、H=U+PV から
  dH=dU+VdP+PdV  そして、dP=0 
∴dH=dU+PdV=dQ   つまりエンタルピーの変化量=熱量の変化量となります。

等圧変化では、系に出入りする熱量はエンタルピーの変化量に=となります。

(2)等積変化 V=一定  ∴dV=0 を上式にいれると
 dQ=dU

等積変化では、外部から入った熱量に等しい分内部エネルギーが増加することになります。

(3)断熱変化 dQ=0 で dH=dU+VdP+PdV=dQ+VdP
 dH=VdP

断熱変化では、エンタルピーの変化量が仕事の変化量となります。

(4)等温変化 状態方程式 PV=RT から PV=一定
  H=U+PV から
  dH=dU

等温変化では、エンタルピーの変化量が内部エネルギーの変化量となります。

(5)熱力学の第二法則
(1)熱は低温の物体から、高温の物体に自然に流れることはできません。
熱を仕事に変えるのは高温の物体から低温の物体に熱を与える場合にかぎられます。 仕事は熱に変わりますが熱を仕事に変えるのは熱の一部です。

熱力学の第二法則の別の表現方法

(2)クラジウスの法則
低熱源から熱を受け取り、高熱源に等しい量の熱を移す他にどこにも変化をのこさないような装置はありません。

(3)トムソン(ケルビン)の法則
一つの熱源から熱を受け取り、それをすべて仕事に変えることはできない。 仕事に変換されない熱は低温部に流れます。

(4)オストヴァルトの原理
一つの熱源から熱を取り出して、これをすべて仕事に変える装置(第二種永久機関)は存在しません。

(6)エントロピーS
物質がT[K]のとき、熱量Q[J]を受け取ったとき、エントロピーSは

だけ増加したと概略の定義をします。

温度なる物質a、b が接触し、熱Qが移動したとします。
(1) 物質a のエントロピー減少
(2) 物質b のエントロピー増加
(3)全体として、

自然界の熱伝導にかかわったすべてのもののエントロピーの総和は常に増加すると言えそうです。

(7)空気線図
空気線図は、その図上で1つの点を示すと、空気の状態が分かる便利なものです。 標準気圧(1013.25[hPa])での表示となります。 表が複雑なので、少し抜粋したものを示します。 尚、比エンタルピーは、概略として空気1[kg]の持っている全熱量と考えてください。

図1. 相対湿度の表し方
図2. 湿球温度と比エンタルピーの表し方

図3. 状態量の変化方向の表し方
今、部屋の空気の状態がA点で表せるとき(上図 3.)
(1) 室内の温度・・・ A点から下ろした点1が室内の温度(乾球温度)です。
(2) 暖房・・・・・・・加湿せず(絶対湿度一定)単純に温度を上げると部屋の空気状態は点2の方向へ移動します。このときの比エンタルピーの増加(hA→h2)は温度上昇に対応しています。 温度上昇に関係する熱は顕熱と言います。
(3) 加湿・・・・・・・加湿のみは、点3の方向へ移動します。 このときの比エンタルピーの増加は温度上昇に使用されず、水蒸気量の増加になっています。 水蒸気に蓄えられた熱を潜熱と言います。 これは物質の状態変化にのみ関係し、温度上昇無関係な熱です。
(4) 露点・・・・・・・ A点から温度を下げて(左方)飽和線に当たると相対温度は100[%]となり結露しますので点4が露点を表します。
(5) 絶対温度・・・・・ A点から右方に向かった点5は絶対湿度(単位体積中の水蒸気の質量)を表します。
(6) 飽和蒸気圧・・・ A点から上方に向かい飽和線に当たると、それがA点の飽和蒸気圧を表します。
(7) 水蒸気分圧・・・ A点の水蒸気分圧は、点7で表されますので、相対湿度は下記でも求まります。

*現在は質量とエネルギーは等価であり(E=mC2)、交換可能であるので、エネルギー保存則と質量保存則は不成立となります。質量とエネルギーの総和において保存則が成立します。
(8)湿潤空気の密度を求める
 
(1) Daltonの分圧の法則

(2) Avogadroの法則

(3) 密度を求める
 


記事の内容は当社マニュアルの一部であり、正確を期しておりますが、結果責任を追及されることはお許し下さい。


参考
基礎物理学裳華房 金原寿郎著
空調衛生工学会便覧
気象がわかる数と式 オーム社 二宮洸三著